木っ端拾いの材木流し

Cannot see the wood for the trees.

はてな住所登録、正しい情報登録キャンペーン実施の話

はてながユーザー登録情報に住所を追加して、ユーザーに正しい住所登録を依頼しているという話です。要点は次の2つ。

  • 2004年末日までに住所を登録していないユーザーは一時的にはてなが使えなくなる。
  • 住所登録したユーザーからランダムに150人を選んでプレゼントはがきを郵送する。はがきに書いてある手続きをすると300ポイントがもらえるが、手続きをしなかった場合は一時的にはてなが使えなくなる。

各所で沢山の人が話したりまとめを作成されているので、ここでは「住所登録」カテゴリで自分が感じた事をメモしておきます。「住所登録」がキーワード化されているので、辿ってみると良いかも知れません。



私が今回の件で思った事は次の2点です。

  • 個人情報の流出に責任を持つと明記していない限り、虚偽の情報を登録されても仕方がない
  • 住所の正しい入力を義務付ける必然性が感じられない

個人情報を登録するという事はそれが第三者に漏れるリスクを背負うという事です。個人情報が第三者に渡る可能性は幾つか考えられます。
まず裁判所からの正式な要請で開示される場合。これは仕方ありません。
次に個人情報を売買する業者に渡ってしまう等の場合。これは流出させた側が悪いという事になります。
3番目に警察からの要請。普通は裁判所からの要請と同じで問題無いように思えますが、残念ながら昨今はここが信頼できない状態にあります。警察の要請が法的に正当なものかどうかが疑わしい場合がある。
で、裁判所からの要請以外で個人情報が漏洩してしまった場合、ユーザーが受けた被害をサービス提供者が補償してくれればよいのですが、無料サービスの場合、大抵は受けた損害に対してサービス提供者は一切の責任を持たない、となっています。
加えて、利用規約の中で「必要な場合に個人情報を開示する」のように、根拠を明確にせずに個人情報を開示すると書いてある場合もあります。はてなでは (4).2.iiの「当社のサービスを向上させることを目的とする場合。」などがそういったニュアンスを含んでいます。
こうしたリスクを考えると、必要以上の個人情報を与えるのには不安を感じざるを得ません。
ぶっちゃけた話、「無料サービス提供者は個人情報を漏らすかも知れないから、利用者が虚偽情報を登録していても仕方がない」という考え方もあると思います。サービス提供者は責任を負わずに多数のユーザーを獲得できる代わりに、いくばくかの不良ユーザーが存在するリスクを負う。ユーザーは無料でサービスを受けられる代わりに、登録情報が流出するリスクと突然止めさせられるリスクを負う。互いに信頼できないユーザーと提供者であれば、それくらいでちょうどバランスが取れているんじゃないかと。
また、今回の住所登録の理由としてはてなは以下のように書いています。

昨今、サイト上に掲載された情報によって他者の権利侵害等がおこなわれるトラブルが増加しており、こうした際、仮名でのご登録等の理由で情報発信者の特定がおこなえない、といったケースが発生しています。

素朴な疑問として、メールアドレスじゃ駄目なんでしょうか。
例えば今回のキャンペーンを「ランダムに抽出した150人のユーザーに電子メールを送信して(以下略)」として、ユーザーに確実に連絡できるメールアドレスの登録を呼びかける、では駄目なんでしょうか。

  • 住所入力なしでも問題無い気がしますな。(186)
    • ユーザーとのギスギスを避ける為? ならば本末転倒になっている気が(186)
    • 結局ユーザーと連絡が取れればいいのなら、確実に連絡が取れるメールアドレスの取得っていう手が一番早いのでは。(186)
      • @hotmail.com等、フリーのメールアドレスの排除で良いような……。(186)

私もこれで十分な気がします。



今回の話で面白い動きをされている方。
id:wslash さん:帰ってきたtheoriaさん。何と言うか、寝食を惜しんで反応をまとめられています。すごい。
id:smoking186 さん:はてな有料オプションを使って(推測)、複数のユーザーさんに自由に意見を書き込んでもらっています。その内容

弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 「日々是好日」
個人情報保護法に照らしてどうなのかといった事が書いてあり、参考になります。

情報開示の部分(3 個人情報の取得・分析及び開示)は、特にひどい。「3の3」で、「当社のサービスを向上させることを目的とする場合」が挙げられているが、こういった曖昧な「目的」で個人情報の開示が行われるのであれば、プライバシーポリシーを定めること自体が無意味になりかねない。これで情報開示ができるということになれば、「はてな」が主観的に必要と認めれば(「サービス向上のため」と言えば、何でも言えてしまう)、誰に対しても何でも開示できることになってしまいかねない。

以前PwBlogという軽いblogサービスがあって利用を考えたのですが、利用規約に以下のような文面があったので止めた事があります。

また、以下の限られた条件の下、個人情報を利用することがあります。
1)製品やサービスの内容を、より充実したものにするため
 2)ユーザーに特別なサービスや新しい製品などの情報を的確にお知らせするため
 3)必要に応じてユーザーに連絡をするため
 4)利用状況や利用環境などに関する調査を実施したり、広告主、パートナー企業や社内の部門向けにさまざまな報告を行うため
5)収集開示の必要があると特に当社が認めた場合。

ぜんぜん限られてないじゃん。