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GoogleがWhois検索サービスを停止、その裏には……?

経由:Google Weblog (Japanese Version)
Googleが1月10日に開始したWhois検索サービスに対して、ドメイン名登録業者の米Network Solutions(NSI)が異議を唱えた事に関する記事です。NSIがWhoisクエリを遮断したため、現在Googleは同サービスを停止しています。詳細は見出しにリンクした記事をご参照ください。
Whoisデータベースはドメインの所有者名や連絡先などが記録されており、世界中のドメイン登録業者が別々に管理している分散データベースです。
ITmediaの記事によると、GoogleWhois検索機能はゲリー・ムーア氏が開発したRatite.comが運営しているデータベースを利用しており、NSIが管理しているWhoisデータベースへはこのRatite.com経由でクエリーを投げていたようです。
Ratite.comは世界中に分散しているWhois検索を簡素化するのが目的だとのことです。Whoisクエリーを受けて、そのドメインを管理するWhoisデータベースにクエリーを投げるようになっているのだと思われます。
Googleから大量のWhois検索がNSIに渡ったため、NSIはWhoisクエリを遮断すると共に冒頭のような警告を出したという訳です。
Whoisクエリの遮断は顧客情報を守るためというのがNSIの建前ですが、それに対してムーア氏は下記のような推測を述べています。

サービス稼働から数日のうちに、Ratite.comは1時間でNSIが定めた検索件数の上限を上回ったとムーア氏。同氏の推定では、NSIは1つのサイトに対し、1日あたり約1000件のWhoisデータベース検索を許可している。ムーア氏は、この件について話し合いを持ち掛けたが、NSIは応対しなかったと話している。

同氏は独自のセキュリティ基準を定め、1秒間に複数回のクエリーを送ってくる相手のIPアドレスを遮断することで、Whoisデータベースの悪用防止を図っていると説明している。スパムは、NSIが自社サービスの宣伝が可能な自社サイト上に、Whoisデータベースへのトラフィックをとどめておくための方便でもあると思うと同氏は言い添えた。

ユーザーがWhois検索をNSIのデータベースへの直接の問合せではなくRatite.comのようなサイトを通して問合せるようになると、例えばWhois検索目的でNSIのサイトを訪れたユーザーに広告を見せるとかいった営利活動ができなくなります。NSIはそういった事態を防止するために自社以外のWhois検索サービスを否定している、というのがムーア氏の見解です。
これを読んで、昨年9月に起こった米VeriSignのSite Finder問題を思い出しました。関連付けて扱っている所がなかったので、ここで少しご紹介しておきます。
この問題は.comや.netドメインを管理しているドメイン管理業者の米VerSignが、自社のサーバーに間違っていたり未登録のドメイン名が問い合わせられた場合、エラーを出すではなく自社の検索ページにリダイレクトさせるサービスを導入して、インターネットアドレスの管理を行う米の非営利団体ICANNや同業他社から非難を浴びたというものです。インターネットの根幹をなすDNSにおいて自社の営利目的でシステムに改変を行った事が物議を醸しました。
今回の問題でも、公共サービスであるWhoisを独占して営利目的に使いたいという企業の思惑が見え隠れしています。ITmediaの記事によるとNSIはVeriSignの子会社だそうで、なるほどと思いました。
公共サービスとは言っても、米企業の管理下に置かれてしまった時点でこのような事が起こるのは仕方がない気もします。