木っ端拾いの材木流し

Cannot see the wood for the trees.

毒を以って毒を制す

発端はウェブログ@ことのは内の記事「はじめてのウェブログ」が、あるサイトにインラインフレームでそのまま掲載された事でした。
[ネット]こういうのって抗議すべきなのかどうなのか。
ページ盗用とレンタルサーバーMLM屋
[ネット][VEGA CLUB盗用事件]ページ盗用とレンタルサーバーMLM屋 : ウェブログ@ことのは
[ネット][VEGA CLUB盗用事件]
[ネット][VEGA CLUB盗用事件]自縄自縛
[ネット][VEGA CLUB盗用事件]盗用サイトに反撃開始
ページ盗用サイトに反撃♥
[ネット][VEGA CLUB盗用事件]盗用サイトに反撃♥
[ネット][VEGA CLUB盗用事件]コメント・トラックバックつきまくり


ことのは管理者の松永さんは相手に連絡*1しましたが返事がなかったため、この事をことのはで記事にすると共に「はじめてのウェブログ」の表紙にページがVEGA CLUBに盗用されているというメッセージを掲載しました。
さらにこの記事を読んで盛り上がった読者が次々と>>1さん松永さんにネガティブアイディアを提案しました。松永さんはその中で面白いと思った「相手サイトに悪徳商法マニアックスMLM解説ページやレンタルサーバーの競合であるロリポップを表示させる」を採用し、転送専用のページを作成しました。

ここまでやれば、盗用サイト管理人が放置すればそれだけ傷が広がるし、これに気づいてサイトを修正すればそれはそれで問題がなくなるわけで、こちらの反撃としては最小限の手間で済むわけである(現在、殺人的過密スケジュール進行中なので、こんなアホな事案に余計な時間を取られているヒマはない)

(中略)

まあギャラリーの皆さんはこの反撃を見て笑っていただければ幸いです。

『こんなアホな事案』にここまでやられると笑えません。


その後、当該ページの作成者が検索サイト経由でことのはの記事を発見し、当該サイトそのものを削除すると共に ことのはに謝罪のコメントを投稿しました。
ページ作成者からの謝罪のコメント
以上が事の顛末です。


松永さんのまず連絡→改善されないので反撃という流れは妥当な判断です。しかし結果として、ページの盗用を止めさせるという目的を通り越して相手サイト自体が閉鎖してしまいました。
松永さんが今回のような反撃をした背景には、盗用した相手をVEGA CLUBそのものだと思った事、そしてVEGA CLUBが「MLM(マルチレベル・マーケティング)」という商売をしていた事があるのではないでしょうか。
松永さんは記事中で

さて、以下は盗用問題とは別であり、問題点というわけではない。

としてVEGA CLUBが行っているMLMを批判していますが、当該ページの作成者が(実際そうであったように)無名な個人サイトでMLMとも無縁であったならば、もう少し紳士的な対応をしていただろうと信じます。


今回の件に似た後味の悪さを、以前も感じた事があります。
Google株式会社ウェディングに関するページをインデクスから強制削除してから暫らくの間、Googleで特定のページが上位に表示されないだけで「またGoogle八分!?」という憶測が飛び交っていました。
記事を書いている人は「検索サイトで有名なGoogleが検索結果を操作するのは許せない」という正義感で動いていたのかも知れませんが、結果としてGoogle八分の実体を掴みにくくするノイズがばらまかれただけでした。
今回の件は松永さんのちょっとした勘違いもあるので同列に扱うのは酷ですが、事実関係をよく確認する事と非礼に非礼を返す前にもう一度立ち止まる事が大事だと思いました。自分への戒めの意味も込めて。

*1:VEGA CLUBに連絡したのか当該ページの作成者に連絡したのかは不明です。また、連絡というのがメール等による警告なのか、3/23の記事を指しているのかも特に明記されていません。

はてなから外部へのトラックバック機能が登場

ソース:はてなダイアリーから外部へのトラックバック送信 (はてなダイアリー日記)
試しに上の記事からことのは にトラックバックしてみました。うん、使いやすい。参照元の記事を小見出し単位で選べるのも良いですね。
日付単位で選びたいという人もいるかも知れませんが、要望を見かけたらはてなに上げれば良いかな。

続・毒を以って毒を制す

上の記事の続き。
松永さんからコメントを頂きました。ありがとうございます。


コメントの論旨は下記の通りです。


・連絡はサイト内のメールフォームから送信した
・今回の反撃はインラインフレームの解除を期待して行った
・サイト閉鎖は相手の過剰反応で、ことのは の責任ではない
・サイトの規模は関係なく、相手サイトが営利目的でことのは を利用したので反撃した
・相手がVEGA CLUB本体でなく個人である事は知っていた


連絡方法と反撃を(早急に)行った理由は了解しました。先の記事でも述べているように、最初に連絡を取って改善されなかったので自衛手段として反撃した、という対応は妥当だと思っています。


相手サイトがVEGA CLUB本体でないのを知っていたというのは、下記の引用先で述べられていました。

で、例の盗用サイトだが、このVEGA CLUBの参加者の一人が盗用行為に走り、しかもいくつかのドメインで展開しているようである。当方は厳しく対処していきたいと考える。

私は反撃の文面(「はじめてのウェブログ」トップ)に

このサイトはコンテンツ盗用MLM商法サイトVEGA CLUBに盗用されています。
VEGA CLUBによる盗用の詳細についてはここをクリック。当サイトはVEGA CLUBをお勧めしません!
マルチまがい商法(MLM)についてはここをクリック。

という記述があったのと、盗用サイト向けの転送ページがVEGA CLUBを攻撃する内容(「VEGA CLUBが盗用行為を行っている」と明記されています)だった事から、松永さんが相手サイトとVEGA CLUBを同一視しているのではないか、と思っていました。これは書き手の意図を汲みきれていませんでした。


相手サイトの閉鎖について松永さんの「責任」を問う意図は私にはありません。それは明記しておきます。ただ、インラインフレームを解除させるという目的に対して「VEGA CLUBに損害を与えうるページに訪問者を誘導する」という対処が必要を超えていると感じたため、上のような記事を書きました。*1 「はじめてのウェブログ」に抗議文を載せるという対処だけで十分スマートだと思っていた所に、VEGA CLUBの商法批判や競合へのユーザー誘導まで始めているのを見てちょっと引いてしまったのです。


当然ですが、無許可で他人のページを、転載した事が分からないように、営利目的で使うという行為はしてはいけない事です。今回の件で非は100%相手サイトにありますし、松永さんの主張は100%正当なものです。そのやり方がギスギスしているな、と思っただけです。「悪い事をした相手の事など気遣う必要はない」と言われれば、それ以上私には何も言えません。


(3/28 追記)
VEGA CLUBを運営しているネットワークサービス社から松永さんにメールが届いたそうです。
メールでは今回のページ盗用はVEGA CLUBそのものが盗用したものではなく、ユーザーの一人の暴走である事が説明されており、松永さんに再度正確な情報を公開してもらえるよう依頼されています。
はじめてのウェブログ」トップの抗議文および松永さんによる盗用サイト向けの転送ページではVEGA CLUBそのものがページの盗用を行っていると書かれていますが、松永さんが別の記事で述べている通り、これは事実ではありません。
抗議文や転送ページだけを見たユーザーに誤解を与えないよう、抗議文の記述を変更するか転送ページを削除した方が良いのではないかと思います。
ことのはにVEGA CLUBからのメール全文を含めたフォロー記事が投稿されていますので、そちらもご覧ください。


(追記)
ことのはにさらにフォロー記事が投稿されました。
【重要】VEGA CLUBの代表者との電話/読者の皆さんへの要望
はじめてのウェブログ」トップの抗議文および松永さんによる盗用サイト向けの転送ページも修正されました。
こういう対応はスピードと投げっぱなしにしない事が重要です。VEGA CLUBやことのはのアクションが早かった点は評価に値すると思います。ここで繰り返しておきます。今回の件でVEGA CLUB本体がことのはのページ盗用を行った事実はありません。
今回ことのはが一時的にVEGA CLUB本体を批判する文面を掲載した事に対して、それが勘違いであると指摘したのがVEGA CLUBの人だけだったというのは、影響力のあるサイトって怖いなと改めて思いました。


(3/30 追記)
徳保さんの「それは盗用か」内の「後日談とか(2004.3.29)」より。

ウケ狙いのネタにしないで、最初から VEGA CLUB にメールでクレームをつけるのが無難だったのではないか、と思ったりもする。

私も最初見た時はそう思いました。松永さんによると最初はメールで連絡して、返事が無かったので反撃したそうです(この記事の冒頭で紹介しています)。
一度警告して改善しない相手に反撃するのは妥当だったと思います。ただ、やり方が過激すぎたのも確かです。
今回の件を扱ったことのはの記事の中で「ページ盗用サイトに反撃♥」へのコメント及びトラックバックが47件と飛び抜けて多くなっているのに対して、より重要な「【重要】VEGA CLUBの代表者との電話/読者の皆さんへの要望」へのコメント&トラックバックが8件しかないという事実は、著作権侵害という事件そのものよりも松永さんの反撃の方が大きな反響を呼んだという事を端的に示していると思います。
ここから得られる教訓は二つ。

  • 情報発信する時は、自分が書いた事で与えられる影響を良く考えた方が良い。特に、誰かのイメージを落として損害を与え得る情報は、回収したり修正するのが難しい。
  • 情報を見たり紹介する時は、ソースを鵜呑みにする前に事実かどうか良く確認した方が良い。そして一度誰かに紹介した事はできる限り追いかけるべきである。

当たり前な教訓なのですが、ことのはの反撃を見て「よくやった」という人ばかりで「ちょっとやりすぎじゃないの?」という人が誰もいなかった事を考えると、今一度呼びかけておくべきなのかも知れません。

*1:松永さんが私の記事を見て「相手サイト閉鎖の責任を問われている」と感じたように、相手サイトの作成者が松永さんの対処を見て「インラインフレームの解除だけでは済まない」と感じるだろう事はある程度想像できたと思います。