木っ端拾いの材木流し

Cannot see the wood for the trees.

スーパーの長崎屋が「長崎屋website」に「長崎屋」という記述の削除を要請

ソース:長●屋websiteだったところ
経由:アニメたれ感日記
まず、この件は既に当事者間で合意が済んでいる事です。この合意内容について私は異論を唱える意図はありません。また、この情報を掲載するのはスーパーの長崎屋および長●屋websiteだったところに損害を与えたり名誉を毀損する意図ではなく、この問題が個人のウェブサイトと企業のウェブサイトの間で容易に発生しうる公共性の高い情報であり、これを公開する事が多くのウェブサイトにとって有益であると判断したためです。*1
長崎屋という名前の成人向け同人誌販売サイトがあって、それが長崎屋と関係あると思われるとイメージダウンに繋がるので名前を変えさせたい、というのが長崎屋の言い分です。これ自体はよく分かります。
今回長崎屋は

  • 長●屋websiteが長崎屋の知名度を利用している事
  • 結果として長●屋websiteが長崎屋の公式ホームページであるかのような誤解を招く事

の二点を削除要求の理由として挙げ、これらを『不正競争防止法上の不正競争行為に該当する違法行為』だと主張しています。
名前の問題ではマイクロソフトとマイク・ロー君の騒動(pblog)とか、GoogleがBoobleに警告SEMリサーチ)とか、古い所では『goo』にアクセスしたつもりがアダルトサイトにInternet Watch)といった問題もありました。
これらの問題を見ると『クレームを付けられた方がクレームを付けた方の知名度を利用して利益(アクセスアップや収入)を得ている』というのが争点になっており(マイク・ロー君の場合は予防措置的な側面が強い)、『クレームを付けられた方がクレームを付けた方のイメージを損ねている』というのは表立った争点にはなっていないように見えます。この辺は、本当に裁判になった時に両方が法的な違反になるのか、片方だけなのか、法律に詳しい方の解説を待ちたい所です(長崎屋が主張する『不正競争防止法上の不正競争行為』はどちらが該当しているのか、とか)。
今回の問題を見てみると、『知名度の利用』の方は、長●屋websiteの方が本来の名前の由来はスーパーの長崎屋とは別である事を明言しており、また『長崎屋』という名称自体が例えば『Microsoft』『Google』『goo』等とは違って同一の名前が発生しやすいものである事を考えると、スーパーの長崎屋の知名度を利用して利益を得ている、とは断定しづらいのではないかと思います。*2もう一つの『サイトのイメージダウン』は上述のように法的根拠があるのか分からないのですが、先に挙げた事例を見た限りではアダルトサイトは歩が悪いようです。
以上を総合すると、今回の件については『クレームを付ける方の気持ちは分かるが、明らかに違法とまでは言えないのではないか』というのが私の見解です。尤もこれは私の私見であり、長崎屋と長●屋websiteの方の合意に異議を唱えるものではありません。
ウ社や長崎屋の件は、企業が目障りだと思っている個人サイトや検索エンジンサイトに圧力をかける弾みになるでしょう。今後同じようなトラブルが発生した時に、上述のような思考実験が企業と個人サイトの管理者が考えるべき点のガイドラインになるのではないかと思います。

*1:……と、これ位の予防線を張っておく必要はあるようです。参考:悪徳商法・サイドビジネス会議室 112327

*2:スーパーの長崎屋に利用できる程の知名度があるかどうかはまた別のお話 :-p